手織りと機械織りの違い

面白い定義

織物で、「手織り」と「機械織り」と聞くと、ほとんどの方は、機械を使わず「手」で織っているから「手織り」機械だけで織っているから「機械織り」と区分されると思います。
 
鶴の恩返し・・・のイメージかでしょうか・・・私もまだ呉服業界に入りたてのころはそのように思っていました。

でも、実際は・・・

手織りには、先に述べた、まったく機械を使わず手だけで織っている、「綴れ」「すくい織り」以外に、ジャガード機を使い、手で杼(ひ)を通す織りかたも「手織り」になります。
 
ジャガード機とは、パンチカード(紋紙)を利用して紋様を織り出す機械をいいます。
 
パンチカードの1列の穴が横糸および経糸1本に対応していて、穴の有無に経糸または緯糸を上下させ、紋紙のパターン通りの模様を織ります。
 
昔は、それを人間の手で上下させていたのですから、どれだけ時間が短縮され、複雑な織りもでき、大量生産できるようになったかはかり知ることができますね。
 
よく、マスコミ関係の方からお願いをされるのですが、実際には「機械織」と「手織り」の区別は、この定義がある限り、なかなかつきにくいです。
 
さて、なぜ、最近このような問合せが多いのかというと、西陣で唯一、杼を製作している「長谷川杼製作所」の現在三代目である長谷川淳一氏が、高齢になり、継ぐ方がいないからなのです・・・
 
なんとか伝統が残せないか・・・そう思っている方も多いと思いますが、お弟子さんを取るお気持ちがないとのこと・・・
 
悲しい現実ですが、これも時代の流れ・・・
 
だからこそ、今の着物や帯を楽しんでいただきたいと思います・・・

この記事を書いた人

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谷 加奈子

丸や呉服店 代表

東京都出身。 大学卒業後、大手メーカーのSEとして就職。 1995年、東京・大田区西蒲田に店を構える1926年創業の「丸や呉服店」の三代目として 家業に入る。2016年、着物をファッションだけではなく、もっと広い意味で伝えたく、「表に立つ人を輝かせる」という想いを載せて一般社団法人「着物道」を設立。
代々受け継がれてきたノウハウを生かして 「自分に似合う着物がわからない・・・」と いう悩みや「キレイに着るコツ」 など、着物 雑誌「七緒」「きものサロン」を始め、新聞や テレビ・ラジオなど多岐にわたって「着物生活」 の専門家として活躍中。