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【創業100周年記念展】京絞り寺田

京絞り寺田とは・・・

京絞り寺田
京都・大徳寺のすぐそばに工房を構える京絞り寺田は、200年以上の歴史を大切に守りながら、今も新しい息吹を吹き込んでいる絞り染めの老舗です。1813年に木版彫刻美術出版業としてスタートし、1923年には曾祖父が京鹿の子絞りの製造卸業を始めました。この長い歴史を受け継ぎ、現在は四代目の寺田豊さんが家業を支えています。伝統の技を守りながらも、未来への新しい挑戦を続けている工房です。


総絞の圧巻の手仕事
総絞の訪問着には、なんと16万粒、多い場合は20万粒もの絞りが施されています。この驚くような細かな作業は、かつて京都郊外の農家の主婦たちの手仕事として行われていました。しかし、高度成長期を迎えるとその働き手が減少し、寺田家では韓国や中国から手助けを得て絞り作業を続けてきました。絞られた布は京都に持ち帰られ、京の町の清らかな地下水を使って染め上げられます。この地下水こそが、京都ならではの美しい発色を生む秘密です。


草木染への思い
現在、寺田さんは、紫根や日本茜といった古来の草木染を現代に復活させるため、熱心に取り組んでいます。そのきっかけはコロナでした。全てがストップした時、原点を見直すこととなり、その後、実際に植物の栽培地を訪ねたり、同業の方々とネットワークを作りながら、貴重なデータを集めるなど現在も努力を続けています。草木染で染められた布は、化学染料では再現できない、長い年月を経てもなお光を放つような深い美しさを持っています。自然の恵みと職人技が生み出すその魅力は、今改めて多くの人々に評価されています。

 

絞り染めの未来をつないで
「自然と人の営みが織りなす美しい循環への深い思いが込められています。長い時間をかけて培われた手仕事の技術を未来につないでいくこと。そして新しい表現の可能性を探し続けること。京絞り寺田の挑戦は、絞り染めの伝統を守りながらその魅力を広げていく、素晴らしい一歩となっています。

 

京絞り寺田の魅力
京絞り寺田が手がけるきものや帯は、伝統と革新、自然の恵みが調和した唯一無二の作品です。その美しさや温もりは、あなたの装いをより特別なものにしてくれるはずです。千年の歴史が息づく京絞り寺田の作品に、ぜひ一度触れてみてください。

 

この記事を書いた人

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谷 加奈子

丸や呉服店 代表

東京都出身。 大学卒業後、大手メーカーのSEとして就職。 1995年、東京・大田区西蒲田に店を構える1926年創業の「丸や呉服店」の三代目として 家業に入る。2016年、着物をファッションだけではなく、もっと広い意味で伝えたく、「表に立つ人を輝かせる」という想いを載せて一般社団法人「着物道」を設立。
代々受け継がれてきたノウハウを生かして 「自分に似合う着物がわからない・・・」と いう悩みや「キレイに着るコツ」 など、着物 雑誌「七緒」「きものサロン」を始め、新聞や テレビ・ラジオなど多岐にわたって「着物生活」 の専門家として活躍中。