【創業100周年記念展】帯屋捨松
帯屋捨松とは・・・
「日本の伝統美と革新の融合」
帯屋捨松は、江戸幕府安政年間(1854年~1859年)に創業した、京都・西陣の老舗帯メーカー。伝統美と革新を追求しながら、高品質で文化性の高い製品を生み出し続けています。
その歴史の中で、量産を主軸とした時代を経て、昭和30年代に名匠・徳田義三氏との出会いをきっかけに「量より質」へと方向転換しました。
それ以来、帯屋捨松は手間を惜しまない丁寧なものづくりに取り組み、日本の美意識を深く反映した作品を生み出しています。
「あしらいの精神」
帯屋捨松の帯には、「あしらい」の精神が宿っています。
「あしらい」とは、日本語で人と人とのほどよい距離感や思いやり、遊び心を表す言葉です。その精神は、帯のデザインや色彩、織り方に織り込まれ、使う人に豊かな心のゆとりを感じさせます。
製作の過程では、あえて効率を追求せず、伝統的な手法を尊重している帯屋捨松。
図案を手描きで紋図に起こし、複数の色糸を組み合わせて奥深い色彩を生み出す工程、さらに金銀糸や箔を取り入れた精緻な技法により、帯には一目では気づけないほどの奥行きと魅力が宿ります。
こうして完成する帯は、見た目の美しさだけでなく、締め心地や触れたときの風合いにまで細やかな配慮が行き届いています。
「屋号の由来」
屋号「帯屋捨松」は、7代目社長・木村博之の曾祖父の名前に由来しています。
「捨」という文字には、子供の無事な成長を願う親心が込められており、ロゴやデザイン、暖簾文字には徳田氏の遊び心と創意が取り入れられ、伝統と個性が見事に調和しています。
現在も、少数精鋭の職人たちによる技術力と情熱でものづくりに取り組んでいる帯屋捨松。
新柄や配色替えの時にはスタッフと意見を出し合い、徳田氏から受け継いだ「美しさとは何か」「生きるとは何か」という哲学を礎に、伝統を尊重しながらも現代的な感性を加えた帯づくりを続けています。
帯屋捨松の魅力は、伝統工芸の枠を超え、日本文化の深い美意識と現代のライフスタイルに寄り添う新たな価値を提案し、時代を超えた芸術作品として、使う人の心に豊かさと彩りをもたらす美しさ。その魅力と息づく伝統の技に、ぜひ触れていただけましたら幸いです。